こんばんは。第2回は糖尿病と高脂血症についてやっていきたいと思います。読者はほぼゼロに近いですけど、頑張ります笑
さて、前回説明した高血圧と並んで生活習慣病と言われるこの2つ。確かに焼肉、ハンバーガー、ポテトにビール、唐揚げに白飯!笑  という生活を続けているとなる病気、というイメージで、それは正しいです。しかし、逆は必ずしも真ならず。
糖尿病や高脂血症の患者さんは全員が生活習慣の悪いだらしのない人かというと、実はそうではありません。この2つの病気、お医者さんなら知っていて当然ですけど意外と奥が深いんです。




管理栄養士監修の気配り宅配食 【腎臓病の方向け】たんぱく制限(10g)気配り宅配食 もったいぶらずに結論から申し上げますと、この2つの病気は、「遺伝や体質のためにやむを得ずなってしまうこともある」のです。
具体的には、1型糖尿病と、家族性高コレステロール血症です。


話が複雑になりそうなのであまり掘り下げませんが、要は何が言いたいかと言うと、糖尿病だからだらしない人、というのは大きな誤解だと言うことです。もちろん生活習慣でなるケースが大半ではあるのですが・・・


この1型糖尿病は、若くて痩せている人でもなる病気で、先天的にインスリンという膵臓から出る血糖値を下げるホルモンがほとんど出なくなってしまうために起こります。大半の糖尿病は2型糖尿病ですので、まずは生活習慣や食事の改善、運動、その次に飲み薬、それでもダメならインスリンの注射薬、といった具合に治療していきますが、何も悪いことをしていないのに不幸にして1型糖尿病にかかってしまった患者さんはインスリンを注射で打つしか今の医学では治療法がないのです。

一方高脂血症ですが、読んで字の通り、血液中の脂肪成分が高い、という病気です。具体的には中性脂肪とコレステロールです。中性脂肪を下げる薬もありますが、私の経験上あまり効果は出ません。やはり運動やカロリー制限がある程度は大事になります。

コレステロールには、善玉と悪玉があります。聞いたことある、という方もいると思います。簡単に言うと、善玉は多い方がいい、悪玉は少ない方がいい、と覚えてください。

病院で採血結果をもらってもどれが善玉でどれが悪玉か分からないよ!という方のために。
善玉は別名HDLコレステロール、悪玉は別名LDLコレステロールと言います。よくHDL-C、LDL-Cと略されているものです。細かく分けると他にも種類はありますが、この2つを覚えておけばそれでよいです。ちなみに善玉と悪玉、その他を合わせたのが総コレステロールと言います。Total-Cと書かれているかもしれません。

健康診断などで採血結果を見るときは、どのコレステロールが高いのかに注意して下さい。
例えば、コレステロール200と言われた!
と言っても、総コレステロールが200で、そのうちHDLが60、LDLが100であればあまり問題はないわけです。(説明の都合上、細かい部分は省きましたが、LDLとHDLを足すと総コレステロール、という単純な計算ではありません)

しかし、LDLが200あると、大きな問題です。
私の経験上、ロクなことがありません。

私の専門は内科の中でも循環器内科という分野で、心不全とか心筋梗塞といった病気を治療することが多いですが、心筋梗塞で運ばれてくる患者さんの半分近くは、このLDLコレステロールが高いことが1つの原因だと考えています。
あくまで私の私見、感覚的な話ですが。

このLDLコレステロールも、遺伝的に10代や20代の頃からとても高い場合があります。それは先ほどの家族性、という病気ですが、それ以外でもLDLコレステロールは体質に影響されやすいと言われています。具体的には、全然太ってもないし、食べるものにも気をつけて運動もしている、それでも高い。こういった患者さんは、体質的にLDLが高いから、ある意味では仕方のない状況なのです。問題は、それでどうするか?ということです。自分は運動も頑張ってるから薬は必要ない。これは間違いです。ご本人は悪くない時でも、実際に数値が高いことは将来患者さんの不利益になりえます。正解は、病院で適切な処方を受けて、きちんとコレステロールが下がるようにコントロールすること。
他ならぬ自分自身、そして家族のためにも、病気の正確な理解と行動が必要だと私は思います。


まとめです。
第1回の血圧の話でも触れましたが、糖尿病、高脂血症は、「今は大丈夫だけど放っておくと後々ロクなことがない長い付き合いの病気」と言えます。それぞれ、詳しく掘り下げるとかなり長くなるのでそれはまた次回以降に譲りますが、時間に限りがある内科の外来で、どうしても一般の方に正確な知識を理解してもらうのは難しい。そんな中で、本ブログを読むことで、少しでも病気に対する理解が深まればと考えております。