プロが教える健康のための予防医学

高齢化が進む昨今、病気や健康への不安は誰もが抱える悩みではないでしょうか。いち内科医の立場から一般の方へ分かりやすく、健康でいるための予防医学について説明していきます。

おはようございます。今回はドラマの話です。
私はスマホのアプリやパソコンで見逃した過去のドラマや映画が見れる、Hulu を愛用しているのですが、今見ているNのためにという湊かなえさん原作の2014年のドラマにハマっています。


榮倉奈々、窪田正孝主演で送るこのドラマ。ネタバレしないよう触りだけ説明すると、瀬戸内海の島の出身の榮倉奈々と窪田正孝は幼馴染。高校生の時のある放火事件をきっかけにお互いが特別な存在となります。しかしそれもつかの間、高校卒業と同時にお互い別々の東京の大学に進み、疎遠になっていきます。榮倉奈々は大学時代に同じアパートで知り合った小出恵介、賀来賢人と仲良くなりやがて就職活動を行い社会人となっていきますが、その途中に知り合った賀来賢人の上司にあたる会社員(徳井義実)とその妻(小西真奈美)と親しくなります。しかし、あるクリスマスの夜にその夫婦が殺害されてしまいます。榮倉、小出、賀来の3人は、ある目的のため現場に居合わせており、事件に深く関わっていました。また、社会人となり榮倉と再会していた幼馴染の窪田正孝もある事情により現場に居合わせており、現場にいた全員にそれぞれ大切な人がいました。それは各々の異なっていましたが、イニシャルはいずれもN。だからNのためにというタイトルです。小出恵介が犯人として処理された事件の真相にそれぞれの大切なNを思いながらの葛藤、そしてやがて明らかになる事件の真相やいかに。

キャストもなかなか豪華で、複雑な人間関係や、誰もが大切なNを想って行動していた結果の悲劇とその真相解明を描いたストーリーで続きが気になって見てしまいました。

なお蛇足ですが、私は中学高校と将棋部で最高段位は4段だったのですが、このドラマは所々将棋が出てきます。しかもなかなか将棋の最後の最後に出てくる詰将棋という点でなかなかちゃんとできてるなと感心しました。詰将棋は新聞とかにたまに載っているあれです。


なんだかんだ、紹介が長くなってしまいましたね。それではよい日曜日を。


こんにちは。今日は茨城県に来ています。
外来の患者さんもひと段落したので、今回は心不全について書こうと思います。

心不全とは何か?正確な定義ではないですが、分かりやすく言うと心臓の動きが悪くなることで全身にうまく血が回りにくくなり、むくんだり息が苦しくなったりする病気、です。

まず大前提として、心臓とはどのような働きをする臓器なのでしょうか? 心臓は、血液を全身に巡らせるためのポンプの役割を担っています。血液には栄養分や酸素が含まれており、どの臓器も血液によって栄養や酸素をもらわないと生きていけないのです。当たり前ですが、心臓が止まってしまうと生きてはいけません。まず真っ先に脳が死んでしまいます。しかも数分単位で。このことから、心臓は最も大事な臓器と言われています。

さて、本題に戻りましょう。ではなぜ心臓の動きが悪くなるのでしょうか?老化?
いやいや、原因はちゃんとあります。ただその原因にも種類があるので、多くの人が勘違いしてしまうのです。大きく分けて4つありますので順に説明していきます。

①心臓の血管が狭い

さっきどの臓器も血液の栄養が必要だと言いましたが、心臓も例外ではありません。心臓自体も、冠動脈と呼ばれる3本の細い血管で栄養や酸素を受けて、動いているのです。この血管が詰まる病気が狭心症とか、心筋梗塞です。聞いたことのある方も多いと思います。なにせ日本人の死亡原因のトップ3に入る病気です。3本ある冠動脈のうち、1本でも詰まれば、それは命に関わることもあるのです。血管が詰まりかかっている状態が狭心症、完全に詰まってしまうと心筋梗塞となります。誰でもそうですが、栄養不足、酸素不足では元気がなくなります。心臓も同じで、栄養がいかないとやがて動きが落ちてしまいますし、心筋梗塞に至っては心臓の細胞が大部分死んでしまうので、死んでしまった部分はもう二度と動かなくなるのです。このため、心筋梗塞の後遺症として心不全が起こることは多いです。

次に治療方法ですが、基本的には薬はもちろん大事ですが、薬のみでは完治はしません。医師が必要と判断した場合はカテーテル治療となります。狭窄の箇所があまりに多すぎる場合や、血管の根元から詰まりかかっている場合などはバイパス手術という、他の血管を取ってきてつなぎ合わせる手術が必要な場合もあります。

②弁膜症

いわゆる弁膜症という病気は、最近CMでも見かけることが多くなりましたが、実は正確な病名ではありません。その前にまず心臓の構造について説明します。心臓は、実は4つの小部屋に分かれています。右心房、右心室、左心房、左心室の4つです。心臓の弁とは、この部屋と部屋の間、また部屋から出てくる血管の逆流防止をするためについているドアのようなものです。右心房と右心室の間にあるドアを三尖弁、左心房と左心室の間のドアを僧帽弁。また右心室から肺動脈という、肺へ向かう血管が出ていますが、この血管の弁を肺動脈弁と言います。また左心室から全身を栄養するために出てくる血管を大動脈と言いますが、この血管についてる弁を大動脈弁といいます。これらの弁は、長年生きていると段々と壊れてきます。ドアの例えに戻りましょう。長年使い古したドアは、やがて石灰化と呼ばれる変化を起こして硬くなり、出口が狭くなってしまうことがあります。これを狭窄症といいます。狭窄がひどいと、ドアの出口が狭くなるだけでなく、ほとんどドアが開かなくなってしまいます。またドアの具合が悪くなり、開くけれどうまく閉じない、といったことが起こり得ます。これを閉鎖不全症といいます。ドアの不具合は主にはこの2つがあります。先ほど弁は4種類あると言いましたが、それぞれに狭窄、閉鎖不全が起こるので、都合8通りの弁膜症があることになります。

いずれにしても、弁膜症でドアの開閉がうまくいかないと、心臓の仕事量が増えてしまい、やがて心臓は過労で弱っていき心不全となってしまいます。

弁膜症の治療は、その進行具合にもよりますが、重症な場合は基本的には手術治療しか方法がありません。最近ではカテーテル治療も一部ではできますが、いずれにせよ①同様に薬だけでは完治できない病気です。大事なのは、毎年健康診断で医師の診察を受け、手術のタイミングを逃さないように適切なタイミングで病院にかかることだと思います。

③心筋症

心筋症とは、心臓の筋肉の異常によって、心不全になる病気です。これまで①と②で、心臓を栄養する血管や、ドアの問題をお話ししましたが、心臓とは元々ポンプ、筋肉の塊なのです。
その心臓の筋肉、つまり心筋に異常がある病気を心筋症と言います。詳細は複雑になるので割愛しますが、心筋症も弁膜症のような総称表現になるので、具体的にはいくつも種類があります。多いもの、誰もがなりうるものは、高血圧状態を長年放置していると心筋の肥大が生じるものです。検診で心肥大と言われました、という方も多いと思います。血圧は、血管の抵抗なので、血圧が高いと、その分心筋が頑張って動くため、ある意味心臓の筋肉が自分の意思とは関係なく筋トレをしているような状態です。筋トレで心臓が強くなるならいいじゃないか、と思われる方もいるかもしれませんが、手足の筋肉と違って心筋はほとんどが再生しないので、筋トレして肥大した心筋は、やがて疲弊して動きが落ち、むしろ弱っていきます。このため心臓の動きが悪くなるのです。

一方で、心筋症には何種類もあると言いましたが、遺伝子の異常が原因で生まれながらに心臓の病気を背負ってしまう方も残念ながらいます。心筋症の怖いところは、こうした生活習慣病的な要素よりも、遺伝子の異常により若くして心不全になってしまう方がわずかながら存在するところだと私は思います。遺伝子の異常と心筋症、心不全の関係性は未だに分かっていないところも多く、実は私の現在の研究テーマと深く関わる分野の話です。今回は省きますが、いずれ皆さんに読んでもらえるようになれば機会があれば話せたらなとは思っています。

この心筋症ですが、基本的には薬の治療しかできないのが現状です。なぜなら心臓そのものは代わりが効かないからです。例外として心臓移植という治療がもちろんありますが、日本の法律、脳死判定の基準の特性上、移植を受けたいこどもたちの数と、移植のドナーとなる脳死患者さんの数に差があり、移植を受けられる患者さんはごく僅かなのが現状です。外国で手術を受けられる患者さんもいますが、入院費や手術費などで莫大なお金がかかってしまいます。
参考までに、このテーマを元にした映画を見てきました。なかなか良くできていて、医師としても考えさせられる内容になっていましたのでよかったら見てみてください。


④不整脈

最後に、不整脈についてです。不整脈も総称ですので、細かく分けると、起こった瞬間に心臓が停止する致死的なものから、検診で様子を見ましょう、といった程度の軽いものまで様々です。長くなってしまったので詳細はまた機会がありましたら書きますが、不整脈も心臓にとっては効率の悪いもので、心不全の原因ともなりえます。具体的には脈がものすごく速い不整脈と、脈がとんでもなく遅い不整脈があり、どちらも心臓にとっては負担となります。


心臓の分野は私の専門になるので、1話では語りきれないですし、また細かいところは項目ごとに書いていけたらなと思っています。またよろしくお願いします。 シェーマ図は下記より引用 http://www.benmakusho.jp/about/benmakusho.html




こんばんは。第2回は糖尿病と高脂血症についてやっていきたいと思います。読者はほぼゼロに近いですけど、頑張ります笑
さて、前回説明した高血圧と並んで生活習慣病と言われるこの2つ。確かに焼肉、ハンバーガー、ポテトにビール、唐揚げに白飯!笑  という生活を続けているとなる病気、というイメージで、それは正しいです。しかし、逆は必ずしも真ならず。
糖尿病や高脂血症の患者さんは全員が生活習慣の悪いだらしのない人かというと、実はそうではありません。この2つの病気、お医者さんなら知っていて当然ですけど意外と奥が深いんです。




管理栄養士監修の気配り宅配食 【腎臓病の方向け】たんぱく制限(10g)気配り宅配食 もったいぶらずに結論から申し上げますと、この2つの病気は、「遺伝や体質のためにやむを得ずなってしまうこともある」のです。
具体的には、1型糖尿病と、家族性高コレステロール血症です。


話が複雑になりそうなのであまり掘り下げませんが、要は何が言いたいかと言うと、糖尿病だからだらしない人、というのは大きな誤解だと言うことです。もちろん生活習慣でなるケースが大半ではあるのですが・・・


この1型糖尿病は、若くて痩せている人でもなる病気で、先天的にインスリンという膵臓から出る血糖値を下げるホルモンがほとんど出なくなってしまうために起こります。大半の糖尿病は2型糖尿病ですので、まずは生活習慣や食事の改善、運動、その次に飲み薬、それでもダメならインスリンの注射薬、といった具合に治療していきますが、何も悪いことをしていないのに不幸にして1型糖尿病にかかってしまった患者さんはインスリンを注射で打つしか今の医学では治療法がないのです。

一方高脂血症ですが、読んで字の通り、血液中の脂肪成分が高い、という病気です。具体的には中性脂肪とコレステロールです。中性脂肪を下げる薬もありますが、私の経験上あまり効果は出ません。やはり運動やカロリー制限がある程度は大事になります。

コレステロールには、善玉と悪玉があります。聞いたことある、という方もいると思います。簡単に言うと、善玉は多い方がいい、悪玉は少ない方がいい、と覚えてください。

病院で採血結果をもらってもどれが善玉でどれが悪玉か分からないよ!という方のために。
善玉は別名HDLコレステロール、悪玉は別名LDLコレステロールと言います。よくHDL-C、LDL-Cと略されているものです。細かく分けると他にも種類はありますが、この2つを覚えておけばそれでよいです。ちなみに善玉と悪玉、その他を合わせたのが総コレステロールと言います。Total-Cと書かれているかもしれません。

健康診断などで採血結果を見るときは、どのコレステロールが高いのかに注意して下さい。
例えば、コレステロール200と言われた!
と言っても、総コレステロールが200で、そのうちHDLが60、LDLが100であればあまり問題はないわけです。(説明の都合上、細かい部分は省きましたが、LDLとHDLを足すと総コレステロール、という単純な計算ではありません)

しかし、LDLが200あると、大きな問題です。
私の経験上、ロクなことがありません。

私の専門は内科の中でも循環器内科という分野で、心不全とか心筋梗塞といった病気を治療することが多いですが、心筋梗塞で運ばれてくる患者さんの半分近くは、このLDLコレステロールが高いことが1つの原因だと考えています。
あくまで私の私見、感覚的な話ですが。

このLDLコレステロールも、遺伝的に10代や20代の頃からとても高い場合があります。それは先ほどの家族性、という病気ですが、それ以外でもLDLコレステロールは体質に影響されやすいと言われています。具体的には、全然太ってもないし、食べるものにも気をつけて運動もしている、それでも高い。こういった患者さんは、体質的にLDLが高いから、ある意味では仕方のない状況なのです。問題は、それでどうするか?ということです。自分は運動も頑張ってるから薬は必要ない。これは間違いです。ご本人は悪くない時でも、実際に数値が高いことは将来患者さんの不利益になりえます。正解は、病院で適切な処方を受けて、きちんとコレステロールが下がるようにコントロールすること。
他ならぬ自分自身、そして家族のためにも、病気の正確な理解と行動が必要だと私は思います。


まとめです。
第1回の血圧の話でも触れましたが、糖尿病、高脂血症は、「今は大丈夫だけど放っておくと後々ロクなことがない長い付き合いの病気」と言えます。それぞれ、詳しく掘り下げるとかなり長くなるのでそれはまた次回以降に譲りますが、時間に限りがある内科の外来で、どうしても一般の方に正確な知識を理解してもらうのは難しい。そんな中で、本ブログを読むことで、少しでも病気に対する理解が深まればと考えております。



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