プロが教える健康のための予防医学

高齢化が進む昨今、病気や健康への不安は誰もが抱える悩みではないでしょうか。いち内科医の立場から一般の方へ分かりやすく、健康でいるための予防医学について説明していきます。

こんにちは。今日は雨でまた少し寒いですね。
昔、母が天気や季節の変わり目は変な人が多いから気をつけなさい、とよく言っていたのを思い出しました笑


さて、今日のテーマはめまい、にしました。
内部事情を言うと、ブログも一生懸命更新していますがまだ残念ながらアクセス数が伸びない状況です。一部の読者の方から、まだちょっと内容が難しいのでないか、とのご指摘も頂きましたので、今回はなるべく難しい話は抜きにして、内科の外来で多い症状の1つに「めまい」があります。

めまいの原因は大きく分けると、

①中枢性のめまい(脳からきている)

②末梢性のめまい(耳からきている)


に分けられます。結論から言ってしまうと、だいたい8割〜9割のめまい症状は、②の耳からくるめまいのことがほとんどです。耳には三半規管というものがありますが、そこにある耳石という石のようなものが、姿勢や頭の位置によってずれたり動くことでめまいが起こります。

この病気自体では命の危険はありませんが、逆に特効薬もありません。点滴をすると楽になる方が多いので、点滴することが多いですが、特別な薬が入っているわけではなく、点滴で寝て休んでいるうちによくなる、というのが本音です。②については、他にメニエール病とか、前庭神経炎とか、突発性難聴といった耳鼻科の病気があります。前庭神経炎は風邪などのウイルス感染などがきっかけで起こることもありますが、原因はまだよく分かっていません。メニエール病や突発性難聴は、ストレスがきっかけで起こることが多い病気です。

①に関しては、②と違い、脳梗塞などでめまい症状が起こっている場合のことです。基本的には①に関しては緊急性の高い病気なので入院や専門的な治療が多くの場合必要になります。


脳梗塞というと、普通は麻痺が出るんじゃないの?と思われると思いますが、小脳と呼ばれる平衡感覚を司る脳があり、そこにいく血管が詰まるとめまいがしたりうまく歩けなくなったりします。

①なのか②なのかの診断は難しいですが、確定的な診断は頭のMRIを撮るしかありません。夜中や休日はMRIが撮れない病院もあるので診察で見極めるしかないこともあります。

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こんばんは。最近はだいぶ暖かくなってきましたね。さて、健康診断シリーズですが、最終章になります。凝固系とは何か。

血算編でも少し話しましたが、例えば怪我をしたりして、血管に傷が入ると血が出ます。この時にまず傷ついた、まあ分かりやすく言えば小さい穴が開いた血管の、穴を塞ぐのが血小板でした。しかしそれだけではまた何かの拍子にポロっととれて出血してしまうので、血小板を助ける存在が必要です。それは凝固因子というものです。血小板でできた血栓(血管の傷を塞ぐフタだと思ってください)をさらに補強するように、凝固反応というものが起こり血小板の周りをセメントのように固めて補強します。こうして傷のセメント工事が完了するのです。

簡単に言うと、血が出たらとりあえずの止血を血小板が、そして徐々にその補強を凝固因子が行うということです。


と、ここまで書いておいてなんですが、健康診断ではこの凝固系という検査まではしないことがほとんどです。なぜかというと、健康診断の主な目的は、高血圧とか糖尿病、高脂血症などの症状はないけどほっとくとヤバイ病気、を早くに見つけるものだからです。この凝固系という機能が狂うときは、何かしら原因があり、他の機能に既に影響が出ていることがほとんどです。稀に血友病などの、血が止まりにくくなる病気、ではそもそもの状態として凝固因子の不足があるのでこの凝固系の検査を調べる必要がありますが・・・


脳梗塞の話とも関連しますが、血栓には、動脈系の血栓と、静脈系の血栓があります。

動脈とは全身に酸素を送るための酸素の多い血液が流れ、静脈とは全身の臓器で酸素を吸った後の、酸素が少なく二酸化炭素が多い血液のことです。

動脈は流れが速く、血小板が集まってできる血小板血栓ができやすいです。

一方静脈は、流れが遅く、さっき説明した凝固因子の1つである、フィブリン血栓ができやすいと言われています。

同じ「血栓」でも、このように動脈系と静脈系では血栓の種類が違いますので、血栓予防、つまり血液サラサラにする薬も、種類が違います。


動脈系の血栓予防には、例えばアスピリンのような抗血小板薬と呼ばれる薬が使われます。その名の通り、血小板血栓を予防するわけです。これは心房細動以外の原因で起こる脳梗塞の治療や、狭心症、心筋梗塞の治療にも使われます。

一方、静脈系の血栓の予防には、抗凝固薬と呼ばれる薬が使われます。これは心房細動でできる血栓や、足の静脈にできる血栓の予防などに使われます。昔はワーファリンという薬の1択でしたが、ここ10-20年で新しい薬が作られて既に日本も含めた世界の多くで大活躍しています。機会があれば詳しく説明したいですが、簡単に言うと、ワーファリンは昔からある、安い、納豆は食べちゃダメ、採血を時々しないといけない、という薬です。新しい抗凝固薬は、納豆OK、採血も毎回は不要、その代わり薬価が高い、という特徴があります。


今回は健康診断というタイトルからはだいぶ脱線してしまいましたね。もしよかったら応援ブックマークをしてくれたら励みになります。このエントリーをはてなブックマークに追加

それではまた。



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こんばんは。それでは引き続き残りの生化学検査について説明します。

●ビリルビン(Bil)、γ-GTP(ガンマGTPと読みます)、アルカリフォスファターゼ(ALP)

肝臓機能の続きのようなものですが、ビリルビン、γ-GTP、ALPは、主に胆道系酵素と呼ばれるものです。具体的には、胆石や胆のう炎、胆管炎といった病気で上がります。肝臓の横には、胆のうと呼ばれる臓器があります。胆のうは、肝臓で作った胆汁と呼ばれる脂肪を消化するための消化液を蓄えています。
胆のうの病気では有名なものは胆石というものがあります。これは胆のうという臓器にできる石なのですが、大きさが大きいものについては手術で取らないといけません。大きい石は胆のうの出口を塞いでしまうので、詰まってしまうとそこに炎症やばい菌の感染を起こしてしまうからです。

このビリルビン(Bil)、γ-GTP、アルカリフォスファターゼ(ALP)は、胆のうや、胆汁の通り道である胆道などに炎症や感染が起こると上がってくる酵素なのです。実際に胆のうの出口や胆管が石で詰まると腹痛や発熱が起こり、胆汁に含まれるビリルビンと呼ばれる成分のせいで皮膚が黄色くなることがあります。これを黄疸と言います。これらの「胆道系」酵素が高いときはそうした病気がないか、お腹のエコーやCTなどでチェックしましょう。

●尿酸

次によく話題に出てくる尿酸値。ともすれば血圧や血糖値よりも重視?されてしまうこの尿酸値。
高くなる原因は、ビールやいくら、ウニ、貝類などプリン体と呼ばれる成分の多い食べ物の取りすぎが多いです。個人差がありますが、尿酸値が高い状態が続くと、尿酸が関節の中で固まって結晶になり、関節炎を起こします。痛風発作といって、足の指先に激痛が走るあれです。

もちろん痛風を起こした人にしか分からない痛みがあり、尿酸値は高くないに越したことはないのですが、高血圧や糖尿病に比べて尿酸値が高い人が心筋梗塞や脳梗塞になりやすい、といった確かな証拠は今のところ実はないのです。個人的な見解としては尿酸値を気にする前に、血圧血糖値、コレステロール値をもっと気にするべきだと思います。





●血糖値、とヘモグロビンA1c(HbA1c)


糖尿病とコレステロールの項で説明しましたが、糖尿病の検査値とはどんなものがあるのでしょうか。
血糖値、というと皆さんピンとくると思いますが、上の
ヘモグロビンA1c(HbA1c)とはいったい何者なんでしょうか。

糖尿病の診断基準は、実は少しだけ複雑です。血糖値が〇〇以上は糖尿病、でいいじゃないかと思われるかもしれませんが、血糖値は血圧と同じく条件によって変動します。例を示しましょう。

Aさん:採血の1時間前に唐揚げ、ポテトにハンバーガーを食べコーラを飲んだ。血糖値160。

Bさん:今日は採血なので食事は食べずに来院。血糖値150。


さて、どちらが糖尿病っぽいでしょうか?糖尿病っぽいと敢えて曖昧な書き方にしたのは、これだけでは確実にどちらが正解かは分からないからです。ただし、感覚的にはさんざんカロリーの高い、血糖値のあがりそうな食事を好きなだけしたAさんよりも、空腹時の血糖が同じくらい高いBさんの方が悪そう、ということは想像できますよね?


健康診断は基本的には外来でやるものなので、採血の前に食事をしてきたかどうかも当然患者さんの自己申告です。つまり、1回の採血では条件の違いが個人間で大きいので判定できないのです。

そこで、
ヘモグロビンA1c(HbA1c)があるわけです。これは何かというと、糖化したヘモグロビンが、全ヘモグロビンの何%あるかという値です。なので単位は%になります。ヘモグロビンについては健康診断(血算)の回をお読みください。

赤血球、つまりヘモグロビンの寿命は約120日と言われていますので、このヘモグロビンA1c(HbA1c)という値は食前か食後かに関わらず、最近1~2か月のその人の血糖値の平均を反映します。
つまり、糖尿病の患者さんが、1~2か月間好きなものを食べて生活し、診察(採血)日の前日から節制しても、ごまかしが効かないというわけです。

このHbA1cが6.5%以上、というのが糖尿病を診断する上での1つの基準になります。
繰り返しになりますが、正式な診断基準は少し複雑になるのでここでは割愛します。


いかがだったでしょうか。血糖値の話などは一般的にはあまり知られていないかもしれないですが、自分の健康状態を正しく理解する上ではやはり正確な知識があると助けになると思います。


それでは本日はこのへんで。

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